近鉄10400系−U

引き続き10400系の製作記です。このページでは下廻りの加工、ディティール、等に付いて掲載して行きます。

恐ろしく反った床板です。これは手で戻すしか方法は有りません。慎重に平に戻して行きます。熟練工の言葉を借りれば「真鍮と友達になる」気持で行きましょう。どれくらいの力でどれくらい戻るのか徐々につかめてくるかと思います。('01,6,7)
動力ですが、市場での安定供給、性能の面からも是非MPギアを使いたいところです。このキットは全車パワトラを装着するようになっておりその為に床板に大きな穴が空いています。これをパワトラを受ける板を利用してふさいでしまいます。もちろんボルスター取付用の孔はパワトラに合わせてありますので丸ヤスリで穴の大きさを広げます。前後方向に長さを詰める必要が有ります。今回の工作で初めての糸鋸の利用となります。('01,6,7)
次に床板にモーター取付用の穴を開けます。今回はLN−14コアレスモーターを利用します。説明書(入っているものと入っていない物が有りますので注意)に記載の寸法にしたがって取付用の孔をはじめネジ用の孔の位置をケガキます。床板に多くの平行線をけがく事になりますがこの時写真の様に下に方眼状の印刷物(例えば表を打ち出した紙等)敷くと正確な線がけがげます。('01,6,7)
糸鋸ですが刃はできるだけピンと張ります。目の粗さは色々ですがこれは模型店で相談されて見て下さい。(相談に乗ってくれないお店は今後のお付合いを考え直されて下さいね)板の真ん中に穴を開ける場合、写真の様に四隅にドリルで穴を開けそこに糸鋸を通し開孔します。
左の写真の様な感じです。ところが上の写真で見て頂くとお分かりの様に糸鋸の上枠が床板より短い為に長手方向は切り口がどうしても内側に寄っていきます。後でヤスリで整形すればいいのですが左の写真で見る限り相当内側によっていきそうです。('01,6,7)
そこで写真の様にドリルで中継点をいくつか開けその中継点を継いで行くように糸鋸を進めます。('01,6,7)
床板の加工が終了です。面倒くさいようで以外と短時間でできる工作です。最近のキットはほとんどがパワトラ仕様ですがこれほどまでに安定供給されない動力を指定するメーカーの考え方に疑問すら覚えます。('01,6,7)
MPギア+キャノンモーターによる動力化に必用なパーツを揃えてみました。これが判らなくMPギアを敬遠される方も多いようです。判ってしまえば以外と簡単ですので是非MPギアの走りを味わって見て下さい。左上からLN−14コアレスモーター、手前側に来てMPギア、ボルスターE、モーターホルダー、ユニバーサルジョイント、上に上がって左からCN−16用ウエイト、KSから分売されているマクラバリ。このLN−14、CN−16強力型の登場で床下機器への影響もほとんど有りません。('01,6,7)
床板のマクラバリ部分をMP用に改造します。KSから分売されたこのパーツは正にMP化の救世主。本家エンドウからも1.0mm厚床板用が発売されています(写真左上)。KSの物は0.8mm厚の床板に対応しています。('01,6,7)
次に床下機器の工作です。キットに付属されていますので何ら問題は有りません。説明書通り取り付けて行きますがここでは半田付けはせず、エポキシ系の接着剤と言われる主材と硬化材を混ぜて用いる物を用います。クーラーの項で述べましたが熱で弱い材質で出来ているパーツですので半田付けには向きません。写真では見にくいですがボール紙片の上に2液を出し割り箸で作ったへらで適量ずつ混ぜ合わせて用います。このエポキシ系接着剤は非常に接着力が強く半田付けが難しい様なところにはどんどん使って見て下さい。ただし硬化後、熱には弱いですので半田付け工作の終わったところでの利用をお勧めします。('01,6,7)
動力車の床下機器にかかります。床下機器の配置上パンタ付車を動力車とします。純製の床下機器取付板を加工する方法(阪急7000系参照)も有りますが今回は別途取付板を作ります。と言ってもチャンネル材を貼り付けるだけですのでそんなに負担は有りません。2x5x2のチャンネル材を半田付けし、元の床下機器取付板をかぶせて所定位置に床下機器取付用の穴を開けます。('01,7,5)
他車と同様床下機器を取り付けます。床下機器表面が床板に対して垂直になるよう十分以上に気を付けます。完成後床下機器がバラバラなのはもっとも見た目が悪いので気を付けて工作します。先述の通りこの車両の場合MP化による床下機器への影響は全く有りません。('01,7,5)
こちらは先頭車。エコーモデルの胴受け(新型電車用)を別途購入し取り付けます。カプラー台、胴受け取付台としてここにも2x5x2チャンネル材を用います。('01,7,5)
さて、これからいよいよディティールアップです。まずはホワイトメタル部品のバリ取り、整形を行います。特に屋根上ヒューズボックスは足の部分が甘く取り付けたときに浮いてしまいますので十分加工します。もちろん前面のポイントとなる標識灯、サボ受けなどもバリが多いので慎重に整形します。ホワイトメタルは柔らかく削り過ぎやすいので弱目弱目の力でヤスリ、耐水ペーパーを用いて行います。('01,7,5)
屋根上のポイントとなる近鉄用パンタ台も整型用の枝を切り落とし整形します。('01,7,5)
屋根上に上記パーツを取り付けて行きます。パンタ台は車体に開いていたパンタ取付用孔を広げて取り付けます。(車体の加工の項参照)ヒューズボックスは先述の通り取り付け足の整形が甘い為、パーツが取り付けたとき浮かないように車体側の取り付け穴を皿状に加工します。2.6mmのドリルで貫通しないようにさらいます。('01,7,5)
屋根上配管ですが他の製作記で多く記載していますのでここではあまり詳しく書きません。他の車両の製作記をご覧ください。配管支えですが左に写っている物がマッハ製、下の物がエンドウ製です。後者は少しオーバースケールですのでマッハ製がお勧め。配管の太さや本数に応じて各種発売されています。エッチングパーツですので切り取って屋根に植え込むのですが植え込む部分は少々やすらなければなりません。写真右が加工前、左が加工後です。('01,7,16)
実車が無いだけに配管の取り回しを調べるのには苦労しました。想像の部分もありますので実車通りではない部分もあるかと思います。上の写真は全体図。左は妻板部分です。電気関係は0.5mm、空気関係(上の写真の手前側前パンタと後ろパンタを結ぶもの)は0.3mm線を使いました。特にこの屋根上配管は省略しても差し支えないかと思いますが、私鉄電車の特徴ですので是非トライして見て下さい。('01,7,16)
写真では判りにくいのですがフクシマ製のパンタ(PT−42−S)を用いる為にパンタ台及びパンタを加工しなければなりません。エンドウの物を用いるのが無難ですがパンタの形態が違っています。削る場所ですがパンタ台取り付け穴の内側の突起部分約1.5mm、パンタは取り付け穴の内側の真鍮板部分約0.5mm厚です。('01,7,16)
屋根上配管が終わったところでパネルライト取付金具を屋根裏に取り付けます。つまらないパーツのようですが両面テープではどうしても剥れてきたりしますのでお勧めします。但しこんな簡易なパーツにもかかわらず、10個で400円もしますので何か代用パーツを探した方が良さそうです。('01,8,21)
前面の標識灯、サボ等をエポキシ系ボンドで取り付けます。運転室窓には洋白帯板(0.5mmX0.2mm)で縦桟を取り付けます。前面幌は塗装の塗り分けを考慮して塗装後の取り付けとします。いよいよ生地完です。塗装前に再度耐水ペーパーで水研ぎをします。#600から最終#1200まで根気良く磨きましょう。('01,8,21)
最後にワイパー。前面窓更新車はダブルアーム、未更新車はシングルアームの物がつきます。大きさは色々有って悩むところですがダブルアームは天賞堂、シングルアームは本来ならフクシマのロスト製が一番なのですが中間に入るのでマッハのエッチング製としました。後者も写真の様にブレード部分を少しアームとずらすだけで実感味が出てきます。('01,8,21)
続いて最後に耐水ペーパーをかけるにあたって私は写真のような手袋をします。歯医者さん等で良く使われている手にフィットするゴム製の物です。水研ぎする相手は半田、すなわち鉛です。自分の皮膚から体内に入る事は当然、間接的に家族にも被害が及ぶ事となります。車体洗浄に行く際水道の蛇口を真っ黒な手で回すのだけは如何せん耐え難い物です。とにかく半田に替る新しい接着剤が登場するまでは自己防衛。こんな事で家族や自分の健康を害するなんて絶対避けなければなりません。写真の物は50枚で、800円程。使い捨て感覚で使っても差し支えないと思います。さて、いよいよ塗装です。('01,8,21)